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ひとりごとぽい。相変わらず短い。
朝起きた時におれが願うことを知っているだろうか。
きり丸の一日は早朝から忙しい。
まず賃仕事を探す。ござを広げたもの売りの店番。水汲み。料理屋の裏で焦げた鍋をきれいにする。剪定された庭木の枝を積み上げて運ぶ。
小遣い稼ぎのようなものから、案外に駄賃を弾んでくれるものまで。職の卑賤は問わない。選り好みはできないし、しない。
学校が長期休暇のときには担任の家に寄宿している。家があるというのは便利だし、よいことだ。拠点があればそれが足がかりになって、仕事はしやすい。寝る場所の心配をしなくてもよくなる。身の置き場がわかっていれば信用が得られて雇われ易い。
こどもにできる最たる仕事は小間使いだ。近くの家をまわって、細かい仕事を請け負う。顔馴染みになれば向こうから仕事は来る。近所付き合いをしておけばいざというとき役に立つ。子守に洗濯、うまいしみ抜きの遣りかた、市場への買出し、ちょっとした値切り交渉。赤ん坊の世話で手が離せない主婦たちのために、近くを通りかかった青物売りや小間物売りを呼びとめたり。
入学してからは賃仕事よりも授業だ。授業は毎日みっちりある。
内職をしようかと思ったが、休み中に学費は稼げるのでやめた。納期が迫る度に外出届を出して街まで品物を納めに行くとしても、届を受け取る担任が嘆息しそうで、その顔を見るのもなんだかなぁと思ったのも一因だった。
何より、きり丸はここに投資をしに来ているのだ。自分への投資。ここで過ごすすべてが、彼が汗水たらして励んだ勤労のすべてと等価だ。
そう思えば一秒も内職には費やせない。
ここで、遊び、笑い、定食を選んで、眠る。すべてがきり丸が労働の対価として受け取ったものを支払って得たものだった。
金銭と等価のとうとい生活は、楽しい。
朝起きたときにおれが願うことを知っているだろうか。
夜眠るときにおれが時折感謝をすることは?
知らないだろうし、知らないでいい。きっと知ってるだろうけど。
同室の二人はまだ眠りのうちだ。寝がえりをうって、唸るように寝言をいう。
(今日も明日も明後日も)
それが祈るようなものだと誰が知ってる?
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(みんな知ってる!)
お金至上主義のきり丸がお金を支払って得たものだからきっとすごく大事。
「戦で家族をなくした」っていうバックボーンを鑑みると、当たり前にあるものとか明日もそこにいると確信できる存在ってきっと貴重だろうなぁと。
昔からきり丸と土井先生は原点です。
生い先こもれる窓のうちなるほど(滝夜叉丸と綾部)
かじつ(五年ろ組)
営門を仰ぐ(小松田)
艶書(会計委員会)
俺の指を噛んで(六年は組)
裏打(伊助とは組の誰か)
全てを捧げる朝(きり丸)
今夜の嵐は荒れるだろう(久々知と伊助)
空蝉(金吾と喜三太)
知音(双忍)
寄する波(会計委員会)
故にあなたを捨てられない(図書委員会)
内密(双忍)